日本語 文法 Vてあげます:解説 - 東京外国語大学

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1 「Vて」に「あげます」「くれます」「もらいます」を接続した「Vてあげます」(普通形「Vてあげる」)「Vてくれます」(普通形「Vてくれる」)「Vてもらいます」( ...  東外大言語モジュールTop > 日本語 > 文法モジュール カード 解説 例文 練習問題 Vてあげます これだけは覚えよう 1 「Vて」に「あげます」「くれます」「もらいます」を接続した「Vてあげます」(普通形「Vてあげる」)「Vてくれます」(普通形「Vてくれる」)「Vてもらいます」(普通形「Vてもらう」)という形があります。

2 構文は次のとおりです。

N1が話し手である場合や、N2が文脈からわかる場合には、これらは省略されることが多いです。

  N1* [与え手] は N2 [受け手] にetc. Vて あげます   (1)わたしは小林さんにノートを貸してあげました。

  N1 [与え手] は N2* [受け手] にetc. Vて くれます   (2)小林さんはわたしに友だちを紹介してくれました。

  N2* [受け手] は N1 [与え手] にetc. Vて もらいます   (3)木村さんに本を貸してもらいました。

「Vてあげます・Vてくれます」 3 「Vてあげます・Vてくれます」は、行為の受け手や「~のために」や「~の代わりに」などで表わされる人物にとって、主語が行なう行為が有益であると話し手が考える場合に使います。

(1)わたしは小林さんにノートを貸してあげました。

(2)小林さんはわたしに友だちを紹介してくれました。

¶これらの文で「Vます」を使うと、恩恵や感謝の意味が薄れます。

また、「Vてあげます」は、受け手に恩を売るという意味を帯びるので、聞き手を受け手として使うときに気をつけましょう。

(1)’わたしは小林さんにノートを貸しました。

(2)’小林さんはわたしに友だちを紹介しました。

4 「Vてあげます・Vてくれます」では、受益者(恩恵を受ける人)の格はすべて「Nに」や「~のために」で表わされるわけではありません。

次のようなルールがあります。

  ①Vが要求する「Nを」「Nに」「Nと」などで表わされている場合、その形のままで表わします。

(4)わたしは弟にお金を貸してあげました。

(5)田中さんはわたしにパソコンの使い方を教えてくれました。

(6)わたしは生徒をほめてあげました。

(7)山田さんは息子と遊んでくれました。

②「何かを作る」という意味があれば生産物の受け手を「Nに」で表わします。

(8)妹は父にお弁当を作ってあげました。

(9)母はわたしにてぶくろをあんでくれました。

③「Nを」が受益者の所有物の場合には受益者は「Nの」で表わします。

(10)わたしは妹の宿題を見てあげました。

(11)木村さんはわたしの荷物を運んでくれました。

④①~③以外の場合、「~ために」(例文(12))または「~に代わって」で表わします(例文(13))。

(12)山田さんはわたしのために詩を書いてくれました。

(13)わたしはかぜをひいた小林さんに代わってレポートを出してあげました。

「Vてもらいます」 5 「Vてもらいます」は行為の受け手の側をN1にして恩恵を表わす表現です。

実際に動作を行なう人は基本的に「Nに」で表わします。

主語の恩恵を受ける人は、ふつう話し手ですので、省略されるのがふつうです。

(3)木村さんに本を貸してもらいました。

(14)小林さんに手伝ってもらいました。

6 「貸してもらいます」や、「教えてもらいます」などは、受け手の側からの表現の「借りる」や「教わる」を使うこともできますが、恩恵の意味が薄れます。

(3)木村さんに本を貸してもらいました。

 → 木村さんに本を借りました。

(15)母に料理を教えてもらいました。

 → 母に料理を教わりました。

「Vてくれます」と「Vてもらいます」の使い方 7 「Vてもらいます」は「させると同時に主語がその恩恵をこうむる」といったように、N1のさす人物が意志的に事態を引き起こそうとする場合にも用いられますが、「Vてくれます」は「Vさせる」という意味があるときは使えません(例文(18)’)。

(16)日本語は木村さんに教えてもらおう。

(17)あした来てもらうよ。

(18)レポートはみなさんに出してもらうことにします。

(18)’×レポートはみなさんが出してくれることにします。

動作主を「Nから」で表わす場合 8 動作主は「Nに」の他に「Nから」でも表わされる場合があります。

「Nから」が使えるのは「送る、届ける」や「教える、ほめる、話しかける」などの(抽象的な知識やことばを含めて)何らかの対象の移動を表わす動詞が「Vてもらいます」とともに用いられた場合です(例文(19)(20))。

「京都」など基本的に場所を表わす名詞は「Nから」のほうが自然です(例文(21))。

(19)京都の友だちからおかしを送ってもらいました。

  (19)’京都の友だちにおかしを送ってもらいました。

(20)その知らせは田中さんから教えてもらいました。

  (20)’その知らせは田中さんに教えてもらいました。

(21)京都からおかしを送ってもらいました。

  (21)’?京都におかしを送ってもらいました。

敬語形 9 敬語形はそれぞれ次のとおりです。

非敬語形 敬語形 Vてあげます Vてさしあげます Vてくれます Vてくださいます Vてもらいます Vていただきます   「Vてさしあげます」(普通形「Vてさしあげる」)は「Vてあげます」、「Vてくださいます」(普通形「Vてくださる」)は「Vてくれます」、「Vていただきます」(普通形「Vていただく」)は「Vてもらいます」の尊敬・謙譲の形です。

「Vてもらいます」は動作主を主語にしないため、「Vてくれます」と比べてやや丁寧な印象を与えます。

(22)田中先生にペンを貸してさしあげました。

(23)鈴木先生はわたしに推薦状を書いてくださいました。

(24)わたしは鈴木先生に推薦状を書いていただきました。

10 目上の人に対して直接言うときには「Vてさしあげます」は使いません。

謙譲の形を使うか依頼の形式を使います。

?先生、ペンを貸してさしあげましょうか。

 → 先生、ペンをお貸ししましょうか。

「Vてやります」 11 「Vてあげる」という行為の受け手が、花や犬など、人でない場合や、与え手から目下の人である場合、「Vてやります」(普通形「Vてやる」)が使われることがあります。

(25)弟に弁当を作ってやりました。



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