助動詞「ようだ」をマスターしよう - 国語の文法
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「ようだ」には、三つの意味があります。
それぞれ意味を例文を見ながら考えていきましょう。
(1) 推定 すいてい. この ...
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「ようだ」
要点のまとめ
■ 助動詞「ようだ」
(1) 意味
① 推定すいてい … 根拠こんきょにもとづいて推おしはかる(どうやら~)
(例) 駅まで続いているようだ。
② たとえ(比況ひきょう) … 何かにたとえる(まるで~)
(例) 夜景が宝石のようだ。
③ 例示れいじ … 具体的な例を挙あげる(たとえば~)
(例) あの選手のようになりたい。
(2) 活用
形容動詞型
未然形
連用形
終止形
連体形
仮定形
命令形
ようだろ
ようだっ
ようで
ように
ようだ
ような
ようなら
○
(3) 接続
「ようだ」は、用言(動詞・形容詞・形容動詞)や一部の助動詞の連体形、助詞「の」および連体詞「この・その・あの・どの」に付く。
(例) 始まるようだ 楽しいようだ にぎやかなようだ 知らせるようだ
(例) 夢のようだ そのようだ
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解説
助動詞の「ようだ」の意味・活用・接続を見ていきましょう。
「ようだ」には、意味が三つあります。
それらの見分けができるようになりましょう。
1 「ようだ」の意味
「ようだ」には、三つの意味があります。
それぞれ意味を例文を見ながら考えていきましょう。
(1) 推定すいてい
この 道は、駅まで 続いて いるようだ。
「ようだ」が文末にあることによって、はっきりそうであるとは断定できないけれども、なんらかの思い当たる根拠こんきょがあってそのように想像する(推おしはかる)といった意味の文になっています。
(根拠とは、たとえばこの道は人通りが多いといったようなことです。
)
このように、なんらかの根拠にもとづいて推しはかることを推定といいます。
これが「ようだ」の一つめの意味です。
文中で「ようだ」が推定を表すときは、「ようだ」よりも前の位置に「どうやら」を補おぎなうことができます。
もっと知る
推定と似たような意味に推量があります。
どちらも不確ふたしかなことを推しはかるという意味です。
ただし、本文で説明したように、推定の場合にはなんらかの根拠にもとづいて推しはかるという違いがあります。
「どうやら~ようだ(らしい)」の意味が推定であると覚えましょう。
(2) たとえ(比況ひきょう)
町の 夜景が 宝石のようだ。
「夜景」と「宝石」とは、もちろん別のものです。
しかし、「夜景」のきらきら輝く美しさがまるで「宝石」に似ているので、「宝石のようだ」と言いあらわしています。
つまり、この例文の「ようだ」は、ある物事をそれとは別の似たものにたとえていることを表しています。
このように、ある物事を別の似た何かにたとえることを、たとえといいます(比況ひきょうということもあります)。
これが「ようだ」の二つめの意味です。
文中で「ようだ」がたとえを表すときは、「ようだ」よりも前の位置に「まるで」を補うことができます。
(3) 例示れいじ
あの 選手のように うまく なりたい。
話し手は「うまくなりたい」というのですが、「あの選手」を例として挙あげることによって、どれくらい「うまくなりたい」かを示しています。
つまり、この文の「ようだ」は、具体的な例を挙げていることを表しているのです。
このように、なんらかの具体的な例を挙げることを例示といいます。
これが「ようだ」の三つめの意味です。
文中で「ようだ」が例示を表すときは、「ようだ」よりも前の位置に「たとえば」を補うことができます。
*
以上のように、「ようだ」には推定・たとえ・例示の三つの意味があります。
ある文中の「ようだ」がこれら三つのいずれの意味であるかを見分けるには、すでに説明したように、「ようだ」よりも前の位置に適当なことばを補ってみるとよいでしょう。
まとめると、次のようになります。
国文法のコツ
「ようだ」の意味を見分けるには、「ようだ」よりも前に適当なことばを補ってみる。
うまく当てはまる語が、「どうやら」なら推定の意味、「まるで」ならたとえの意味、「たとえば」なら例示の意味。
2 「ようだ」の活用
「ようだ」という助動詞は、どのように活用するのでしょうか。
例として、「寒いようだ」を活用させてみましょう。
【寒いようだ】
→寒いようだろう
→寒いようだった
→寒いようである
→寒いようになる
→寒いようだ。
→寒いようなとき
→寒いようなら(ば)
この例の赤字部分だけを抜き出して「ようだ」の活用表をつくると、次のようになります。
【表】「ようだ」の活用表
基本形
未然形
連用形
終止形
連体形
仮定形
命令形
ようだ
ようだろ
ようだっ
ようで
ように
ようだ
ような
ようなら
○
続くことば
ウ
タ
アル
ナル
(言い切る)
トキ
(バ)
★スマートフォンの方は、横にスクロールさせてください。
この活用のしかたは、形容動詞の活用のしかたと同じです。
このように、「ようだ」は、形容動詞型の活用をする助動詞です。
ただし、形容動詞とちがって、語幹と活用語尾の区別がありません。
形容動詞の活用のしかたを覚えておけば、「ようだ」の活用のしかたを丸暗記する必要はありません。
「ようだ」は形容動詞型の活用であると覚えておくだけで十分です。
(形容動詞の活用については、「形容動詞(2)活用」のページを参照してください。
)
なお、上の活用表の仮定形で「バ」を丸かっこで囲んであるのは、仮定形の「ようなら」は、「ば」を付けてもよいし、「ば」を付けずにそのままの形で用いてもよいという意味です。
3 「ようだ」の接続
「ようだ」という助動詞がどのような語のあとに続くのかをしらべてみましょう。
まずは次の例を見てください。
始まる ようだ
楽しい ようだ
にぎやかな ようだ
知ら せる ようだ
見 させる ようだ
押さ れる ようだ
食べ られる ようだ
走ら ない ようだ
行き たい ようだ
知ら ぬ ようだ
死ん だ ようだ
この例の赤字部分は、用言(動詞・形容詞・形容動詞)と一部の助動詞です。
形容動詞の「にぎやかな」が連体形であるので、それ以外についても連体形であることがわかります。
このように、「ようだ」は、用言(動詞・形容詞・形容動詞)および一部の助動詞の連体形に付きます。
*
もう一つの例を見てみましょう。
夢 の ようだ
その ようだ
「夢の」の「の」は、助詞です。
そして、「その」は連体詞です。
「その」だけでなく、連体詞「この・あの・どの」も「ようだ」に連つらなることができます。
このように、「ようだ」は、助詞「の」や連体詞「この・その・あの・どの」にも付きます。
「ようだ」は、もともと体言(名詞)の「よう(様)」に助動詞「だ」が付いた形であったものが一つの助動詞になったものです。
もとが体言なので、活用語(用言・助動詞)の連体﹅形、体言に接続する助詞「の」や連体﹅詞に付くというわけです。
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練習問題
問題1
次の各文中の( )に当てはまる語を、あとから選んで記号で答えなさい。
(1) この地域は、( )柿かきや梨なしのような木が植えてある。
(2) ( )歯の浮くようなお世辞せじを言う。
(3) 彼の見解は、( )間違っていたようだ。
ア まるで
イ どうやら
ウ たとえば
【考え方】
文全体の意味から、( )に当てはまる語を考えていきましょう。
(1)の文では、「柿」や「梨」は「木」の具体例として取り上げられています。
したがって、(1)の文中の( )には、「たとえば」が当てはまります。
(2)の文の「歯の浮く」は、実際にそうなるわけではなく、たとえ(比喩ひゆ)を述べているにすぎません。
したがって、(2)の文中の( )には、「まるで」が当てはまります。
(3)の文は、「間違っていた」と断定するのではなく、なんらかを根拠にそう思うという意味になっています。
したがって、(3)の文中の( )には、「どうやら」が当てはまります。
【答】
(1) ウ
(2) ア
(3) イ
*
問題2
次の文中の下線部と同じ意味を①から③の中から選んで、記号で答えなさい。
灯ひの消えたようなさびしさだ。
① 失恋しつれんして落ち込んでいるようだ。
② 苦虫にがむしをかみつぶしたような顔をする。
③ この小川おがわには、ホタルやタニシのような生き物が生息せいそくしています。
【考え方】
助動詞「ようだ」の意味を見分ける問題です。
文中の「ようだ」がいずれの意味かを見分けるには、文中に適当なことばを入れてみて、どんなことばが当てはまるかを考えてみるのがコツです。
「灯の消えたような」には、「まるで」や「あたかも」といったことばがぴったり当てはまります。
②の「苦虫をかみつぶしたような」も同じです。
したがって、これらの文中の「ような」は、たとえ(比況)の意味だとわかります。
①は、「どうやら」や「どうも」を入れることができるから、推定の意味です。
③は、「たとえば」を入れることができるから、例示の意味です。
まぎらわしいですが、「たとえば」を入れることができるのは、たとえ(比況)ではなく、例示であることに注意してください。
【答】
②
**
問題3
次の各文中の( )に助動詞「ようだ」を活用させて入れなさい。
(1) 母は、疲れている( )た。
(2) 誰かが来た( )気がする。
(3) 早く走れる( )なりたい。
(4) 7時までに起きない( )、むりやり起こします。
【考え方】
「ようだ」は形容動詞型の活用をする助動詞であることと、形容動詞の活用のしかたを知っていれば、決してむずかしい問題ではありません。
(1)は、( )の直後に過去の助動詞「た」が続くので、連用形の「ようだっ」が入ります。
形容動詞型の活用には連用形が三つあるので、そのうちのどれがよく当てはまるかを確かめましょう。
(2)は、( )の直後に名詞(気)が続くので、連体形「ような」が入ります。
形容動詞型の活用は、動詞や形容詞とちがって、終止形と連体形の形がちがうことを覚えておきましょう。
これは、けっこう役に立つ知識です。
(3)は、( )の直後に動詞「なる」が続くので、連用形「ように」が入ります。
(4)は、( )の直後で文がいったん切れているので、連用形の「ようで」または仮定形の「ようなら」がきます。
この場合は、文全体の意味から考えて「ようなら」が入ります。
【答】
(1) ようだっ
(2) ような
(3) ように
(4) ようなら
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